旅立ちの森

クレカゾンビの罠

霧が立ちこめる森。木々の間からは、かすかに“ピッ…”という電子音が響く

ユウタ
ユウタ
な、なんだここ……?
森の奥なのに、光る看板がある……。
“今ならポイント10倍!”だって!?
ミサキ
ミサキ
なんか雰囲気おかしくない?
あの看板、ずっと“セール中”って点滅してる……
サトシ
サトシ
おっ、ここ“分割払いOK”って書いてる!
助かる~!オレ、今ちょっと手持ちないんだよね

ピピピ……と音が鳴り、地面から手が伸びる

ユウタ
ユウタ
うわっ! な、なんだよこれ!
ミサキ
ミサキ
ゾ、ゾンビ!?

朽ちたクレジットカードを握ったゾンビたちが現れる

クレカゾンビ
クレカゾンビ
…リボ…リボ…まだ支払い終わってない……
サトシ
サトシ
ひぃぃ!
カードの亡者たち!?
ユウタ
ユウタ
俺、使いすぎたのかも……!
でもポイントが貯まるって言ってたのに!

そのとき、金色の光が差しこむ。うさ耳の魔導士アンが現れる。

アン
アン
まったく、あんたたち……
“お得”の言葉に弱すぎるのよ
ユウタ
ユウタ
アン~ごめん~
助けて~

アンはため息をつきながらも、クレカゾンビの前に立った。

アン
アン
クレカゾンビはね、支払いを“未来の自分”に押しつけた人たちの成れの果て。
“リボ払い”という名の呪文を使い続けた結果よ
ミサキ
ミサキ
どうすれば倒せるの!?
アン
アン
簡単よ。“使う前に、支払い日を思い出すこと”。
お金の流れを自分で見て、未来を削らないことね。

アンが杖を掲げ、光の魔法陣が広がる

アン
アン
リセット・バランス!

ゾンビたちはカードを落とし、静かに霧へと消えていく。

ユウタ
ユウタ
助かった……!
アン、ありがとう!
アン
アン
いい?カードは便利な“道具”。
でも、油断すれば“未来の自分の時間”を食べる怪物になるの。
サトシ
サトシ
オレ、もう“分割払いOK”って言葉には惑わされない……!
アン
アン
それでいいわ。さて、この森はまだ奥が深い。
次は“サブスク妖精”に気をつけなさいね。

霧がまた立ちこめ、森の奥で甘いメロディが流れ始める──

📝 解説

クレカゾンビは、実は“悪者”じゃないの。
もともとは「便利に支払いを先延ばしできる魔法」を使っていた人たち。
でもね――その魔法を使いすぎると、“未来の自分”の時間とお金をどんどん削ってしまうの。

💳 リボ払いの正体

リボ払いって、一見すると「毎月少しずつ払えばいい」って思うかもしれないけど、
実は“残高が減らない仕組み”になってるの。

たとえば、
5万円の買い物をして、毎月1万円ずつ払っても、
その間にも「手数料(利息)」がかかっていく。
だから、気づいたら「あと20万円も残ってた!」なんてことに。

それが、ゾンビがうめく「リボ…まだ終わってない…」の正体。

🪙 クレジットカードを味方につける3つのコツ

「今あるお金の範囲」で使うこと
 → 「あとで払う」じゃなく「もう払ったつもり」で。

リボ払い・分割払いは使わない
 → それは“借金の魔法”と同じ。
  必要な時だけ、一括払いを選ぼう。

利用履歴を“家計の鏡”にする
 → 毎月の利用明細を見れば、自分のお金のクセが見えてくる。
  「何に弱いか」を知ることが、最大の防御魔法。

クレカは、うまく使えば“信頼”を育てるアイテムでもあるわ。
支払いを守るほど、信用(クレジット)が強くなる。

でも、もし油断したら──あっという間に、浪費の森の“ゾンビの仲間入り”。

そうならないために、
「今あるお金で支払う」=お金の世界の基本魔法
を忘れないでね。