デビットフォレストの奥深く。木々の葉がざわざわと鳴り、どこからか風が巻き起こる。
どっちに行けばいいんだ!?
しかしその声も届かず、白い霧が一気に立ち込める。視界が真っ白になり、足元すら見えない。
返事はない。聞こえるのは木々がきしむ音と、自分の足音だけ。
霧の中でサトシはあてもなく歩き続ける。
せっかく全員で抜け出そうとしてたのに……
と、そのとき――
♬ふわり…… と、どこからか心地よいメロディが聞こえてきた。
やさしく包み込むような、甘い音。
疲れた身体に、音がすっと染みこんでいく。
ふらり、ふらりと足が勝手に動き出す。霧が薄れ、泉のほとりが見えてくる。
泉の中央で、光の粒が集まりだした――
光の中心に、小さな泉が見える。水面がきらきらと輝き、その上に妖精が浮かんでいる。
サブスク妖精が現れた
ここで少し休んでいかない?
映画も音楽も、本も、ぜんぶ楽しみ放題よ。
しかも、最初の1ヶ月は“無料”なの。
こんな森の中で、ラッキーじゃん!
サブスク妖精は微笑みながらサトシに近づいてきた。
あなたの時間を少し、貸してくれれば……
どうせみんな見つからないし……
さあ、あなたの心を“自動更新”してあげる……
その瞬間、杖の光がまぶしく弾けた。
光が霧を切り裂くように走る。サブスク妖精が悲鳴を上げ、泉の水しぶきが飛び散った。
“お試し”の裏には、“自動更新”の呪文が隠されてるのよ。
サブスク妖精は消えかけながら、まだ話しかけてくる。
“無料”の扉は、いつでも開いてるの……
サブスク妖精の声が霧の中に消える。
泉は静かになり、再び森の風が吹き抜け、サトシの周りの霧が晴れた。
無料って、怖ぇな……
“自分が使う価値があるかどうか”を見極めること――それが、サトシの次のクエストよ。
📝 解説
サブスク妖精は、けっして“悪”じゃないの。
音楽を聴いたり、映画を観たり、学びのサービスを使ったり――
上手に使えば、あなたの毎日を豊かにしてくれる、優しい存在。
でもね、サトシのように「なんとなく登録したまま」になっていると、
気づかないうちに、魔法の“自動更新”があなたの時間とお金を吸い取っていくの。
「最初は無料だから」「そのうち使うかも」――
そんな気持ちで放置したサブスクは、
まるで静かに口を開けた沼のように、毎月少しずつ資金を飲み込む。
だからこそ大切なのは、“見直しの魔法”よ。
毎月いちど、あなたの契約リストをチェックしてみて。
📋 見直しの3ステップ
1️⃣ 「実際に使っているか」を確認
2️⃣ 「心が満たされているか」を感じてみる
3️⃣ 「不要なら今すぐ解約ボタン」
使っていないものを減らすと、
心の中にも“空き容量”が生まれるの。
その空いたスペースに、ほんとうに大切なものを入れてあげて。
サブスクは、あなたの味方にも、敵にもなる。
選ぶのは――あなた自身よ。