旅立ちの森

18歳の扉を開くとき

ユウタは、うさ耳の魔導士アンに言われたとおり、
スクールタウンへと向かった。

ここは、冒険のはじまりにぴったりの賑やかな町。
カフェもショップも並び
「スマホ契約できます!」「分割払いOK!」の声があちこちで響いている。

ユウタ
ユウタ
うわぁ、にぎやかだな!大人って楽しそう!

そんなとき、キラキラした笑顔の店員が声をかけてきた。

店員
店員
お兄さん、今ならスマホが0円ですよ!契約だけでOKです!
ユウタ
ユウタ
えっ、0円!? 契約します!
店員
店員
毎度あり!!
では、来月から分割分、毎月1万円ずつひかれるから、よろしく。
ユウタ
ユウタ
え?・・・な、なんで?
“0円”って言ってたのに、分割で毎月1万円って・・・?

店員の姿はもうどこにもなかった。
契約書には、細かい文字で“○年契約”と“違約金”の文字。
ユウタは青ざめた。

そのとき、光の粒が現れ、アンが降り立った。

アン
アン
はぁ~、またやられたの!?
ユウタ
ユウタ
アン~
だって“0円”って・・・
アン
アン
きちんと、契約書は確認した!?
ユウタ
ユウタ
契約書って、この細かい文字で書いてるやつ?
これってきちんと読むの?
アン
アン
当たり前でしょ!!
あなたは成人になったのよ
“同意します”てサインした瞬間、魔法が発動するのよ
ユウタ
ユウタ
魔法?
アン
アン
 そう。“自己責任の魔法”よ。
成人するってことは、親の同意がいらなくなるってこと。
あなたが“自分の名前で契約できる”ってこと。
つまり、“責任も全部あなたのもの”なのよ。
ユウタ
ユウタ
えぇ、そんな・・・
大人って大変すぎる。
こんなの最初から負けイベントじゃん
アン
アン
それは、違うわ。
契約書は“読めば防げるトラップ集”なの。
アン
アン
 たとえば──

  • 解約金があるか

  • 自動更新になってないか

  • 支払い方法が分割か一括か
    この3つをチェックするだけでも、ずいぶん違うのよ。

ユウタ
ユウタ
なるほど・・・
“魔法の三か条”だね。
アン
アン
そうそう。
スクールタウンでは、“知る”ことが最大の防御魔法。
次からは、自分の目で確かめてね。

アンは手をかざして、ユウタの頭上に光の魔法をかけた。

アン
アン
はい、“契約リセット”の回復魔法。
でも、これは今回だけ。
次は自分で守るのよ。
ユウタ
ユウタ
うん。自由って、こわいんだね。
アン
アン
こわいけど、知れば強くなれる
それが大人の冒険なの。

📝 解説

ユウタはまたまた、やられちゃったわね。
本当に先が思いやられるわ・・・

今回は契約の話だったね。
契約ってね、実は“約束の魔法”なの。
言葉ではなく、“紙(契約書)に刻まれた魔法陣”だと思って。

18歳になると、親の同意がなくてもこの魔法陣を自分で発動できるようになる。
でも、同時に“失敗したら自分で修復しなきゃいけない”責任もついてくるの。


🪄 契約の3つの基本ルール

① 契約は読まなくても有効
『読んでいませんでした』は通用しない。
押した“同意します”のボタンが、サインと同じ力を持っているの。
つまり、読まずにサイン=内容をすべて認めたことになるのよ。


② 一度結んだ契約は、基本的に取り消せない
『やっぱりやめます』は、法律上は通用しない。
ただし、“だまされた”“脅された”など、例外はあるけどね。
つまり、契約する前に考える時間こそが一番の防御魔法なの。


③ “無料” “0円” には必ず理由がある
世の中に“完全な0円”は存在しないわ。
“最初の1か月だけ無料” “手数料別”など、
あとからコストがかかる仕組みがほとんど。
契約書には、必ず小さな文字で条件が隠されているのよ。


つまりね──
契約とは、“読めば防げるトラップダンジョン”。
面倒くさがらずに、契約書をしっかり読んでね。

そして、分からないことがあれば、すぐに契約せず相談することも大切だよ。